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マサコの夜は  [街並]

茄子おやじの前に行ったときはすでに夕方だったのだが 晩ご飯をあっさりカレーで っていうのも 下北沢まで来てもったいないかなと思い 少し駅の方に戻った。
「いまどき モツ鍋かい」 ときつい突込みがあるかもしれないが 駅近くの路地を二つ曲がった所にある若者向けのお店に入った。
この店の売りは モツ鍋なのだが 刺身もそこそこ あぶり〆鯖も美味しく頂いた。 
若者向けに感じたのは 対面の板前やホールのお兄ちゃんの愛想と威勢がえらくいいのと 彼らのパフォーマンスが売りになっている点で、 〆鯖はお客の前でバーナーであぶるし、 モツ鍋は火をつけてから出来上がるまでに いろいろと儀式めいたことをする。 
まあ そうやって お客を楽しませるやり方なのだが さらに板前は どこから来た とか 何しに来たのか と話を振ってきて お客がレピーターになるよう 誘導してくる。 
やー 下北沢の厳しさを見ました。
残念ながら この店の写真はなし。

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このあと 映画の中で ソープランド建設予定地になっている 『LADY JANE』 に行ってみた。


このお店は繁華街からちょっと離れた場所にあり

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なかなかいい雰囲気が漂う店構えだった。
今日はここには寄らず

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ジャズ喫茶の老舗 『マサコ』 に寄った。 残念ながらここは映画では使われていません。

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この店の造りは 高円寺の 『名曲 ネルケン』 に似ている。 開業時期がほぼ同じなのではないだろうか。
両店とも 人が住む普通の家の壁を取りはらって 客席を作っている。 そのため外観はほぼ一般住宅のままで 入口に立つと友達の家に遊びに来たときのような親しみを感じてしまう。
特にマサコの客席は 私が育った頃にあった居間や客間のような雰囲気を残していて 実に懐かしい。 
柱は安全のためかロープが巻きつけられていて 柱と柱の間には 触るとじゃらじゃら音のする 今はほとんど見ることがなくなった木製の簾がかけられている。 ここの空間も 一挙に30年は時代を遡る。
50年以上も営業を続けているマサコは下北沢の生き証人とも言え この店が果たした役割は大きい。
60年代ぐらいまでは 下北沢は ちょんの間があったりする場末のいかがわしい街だったらしい。 今は劇場になっているスズナリも以前はストリップ小屋だったという噂も さもありなんと思ってしまう。
また 映画の中で 斉木しげるが演じるお天狗様が計画するソープランド建設計画も 下北沢の暗い過去を下敷きにしているのかも知れない。
70年代になると そんな街にミュージシャンや音楽関係者たちが集まるようになって 若者文化が芽を出し始め、 82年には本多劇場ができ 芝居を中心とした街へと変貌を始めた。
そんな変化をマサコはずっと静かに見てきているのである。
入口の壁には マル・ウォルドロンとマサコさんが並んで描かれている大きな油絵が象徴的に掛けられている。
マサコは実に堂々といていて 大きいのだ。 
そんな大きさ 暖かさが伝わるのだろうか ここには 二十歳そこそこの女の子が一人できていたり 仕事帰りのサラリーマン、ちょっと怪しげなカップルなど いろいろな人が来る。
私も 真空管で鳴らされた暖かい音の Ray Bryant Montreux 77 を聴きながら幸せな気持ちになった。

やっと下北沢の探索も終わった。 それでは 家に帰りますか。


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ぼんぼちぼちぼち

映画の中での「LADYJANE」の髭のLADYママは
フルネームが「髭野まさ子」になっておりやす。
それはこの「マサコ」に因んだものなのかも知れやせん???

刻々と変わり行く下北沢・・・・・
そういった観点からも、貴重な画が盛りだくさんの映画でやすなぁ・・・
by ぼんぼちぼちぼち (2008-10-05 22:19) 

kurakichi

ぼんぼちぼちぼち さん
コメントありがとうございます。

「髭野まさ子」 には気がつきませんでした。
いろいろな複線が張り巡らされた映画なので おそらく「マサコ」に因んでいると思います。 
ただの おバカ映画ではなかった うーん まいったなー

by kurakichi (2008-10-05 22:53) 

ぽて

マサコで締めくくるとは渋いですね!
敷居が高そうなイメージを勝手に抱いてましたが。
夏に行った時、かつての看板猫の写真を貼った入り口だけ撮ってきました^^ゞ
時の止まった感が居心地良さそうですね。客層も幅広いのがまた良しです♪
by ぽて (2008-10-07 21:38) 

kurakichi

ぽてさん
コメントありがとうございます、

昔ここではサルも飼っていて 一番下の黒い壁を写した写真で 志功の絵葉書とひまわりの写真の間にあるのは ここで飼われていたサルの写真でした。
是非一度行ってみてください。


by kurakichi (2008-10-07 23:07) 

m-grace

モツ鍋のお店をクールに採点しているkurakichiさんの冷静っぷりに
楽しくなっちゃいました。
私はそういうトークにまんまと乗せられちゃうタイプなので…ハハハ

下北沢連載楽しませてもらいました♪

by m-grace (2008-10-09 10:33) 

kurakichi

m-grace さん
コメントありがとうございます。

二人っきりで静かに食事というのもいいけれど
わいわいがやがや といったのもいいものです。
エンターテイメントとして 食事を演出することが必要なときもあります。
この時は結構楽しかったですよ。  ハイ
by kurakichi (2008-10-09 10:41) 

そらへい

「マサコ」が無くなってしまったのは残念ですね。
こういうお店は、もうつくろうとしても作れません。
by そらへい (2011-01-30 21:29) 

kurakichi

そらへい さん

このようなお店が新しくできることはまず無いでしょうね。

by kurakichi (2011-01-31 10:54) 

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