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実は一橋大学図書館は  [散歩の途中で]

私も 写真を撮りなが 『ひょっとして?』 と感じていたことなのですが
 
先日 姉から 一橋大学図書館は伊東忠太の作ではないという説がある という指摘を受けた。
姉はオープンカレッジで建物に関する勉強をしていて フィールドワークとして 先生とともに この建物を見に来ている。
その先生が言うには 
『確たる証拠は いまのところ無いが 一橋大学図書館は伊東忠太の作ではない。』

やっぱりそうか うん、うん と うなづいてしまいました。

まず建物から受けるボリューム感が違う。

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これは はっきり忠太の作品とされる兼松講堂、本館、東キャンのパスにある東本館はどっしりとしていて バスク地方にある古い教会にも似ていて 確固たる力強さがある。

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それに比べ図書館から受ける印象は どことなく うすっぺらい。

私は建築を専門としている訳ではないので 詳しいことはわからないのであるが 忠太はロマネスク様式を志向していたと聞く。 ロマネスクとはローマ風ということらしい。 
それに対しゴシック様式というのがあり これはゴート風 こちらはドイツ的なのである。
ロマネスクは おおらかで 大地にしっかり根を張る大樹 そう日立グループのCMで 『このーき なんのき きになるき』 と歌われているような 暖かい日差しの中にある横に大きく広がる大樹を連想する。
一方 ゴシックは天を希求し 高く ひたすら上を見て伸びて行く シュヴァルツヴァルトあたりにある針葉樹が想像される。
図書館は時計塔を持っていることもあるが どことなくゴシックのイメージが付きまとい 寒風吹きすさぶ荒れ野にそびえる杉木立のように見えてしまう。

建物の外観だけでなく 施された彫刻から受ける印象も違っていた。

兼松講堂のファサード上部にある円形レリーフの3つの吉兆鳥獣は どれも

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円形の枠いっぱいに 隙間を押しつぶすように彫られ 丸々として 力量感がある。 
写実的ではなく デフォルメされた姿に満々としたエネルギーがみなぎっている。
それに対して図書館の柱の上に置かれた鳥獣の格闘像は

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彫り出す前の四角い石の形がわかるほど力動感に乏しい。

柱のプロポーション、装飾の完成度の差も 

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歴然としている。

ましてや この安直な 幾何学的な装飾は 一体何なのだ。

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牙をむき出している動物についても 作者の力量の差、それは想像力とデッサン力に大きく依存しているのだが、

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その差は 誰の目にも明らかである。

ここまで色々見てきたが 私の結論として

 一橋大学図書館は 伊東忠太の作ではない。

となったのでした。


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コメント 8

m-grace

こうやって比較して見ると確かに違っているような気もしますね。

by m-grace (2008-10-20 01:41) 

kurakichi

m-graceさん
コメントありがとうございます。

忠太の作品は 余裕があって ユーモラスでなごむんですが
図書館には それを感じなかったのです。

by kurakichi (2008-10-20 08:12) 

華蓮

お久しぶりです。
そこらへんの、建物とは
全然ちがうんですね。
おっきい!
by 華蓮 (2008-10-20 13:10) 

kurakichi

華蓮さん
コメントありがとうございます。

そうですねえ 古い大学の建物ですから 今の建物と比較すると その印象はだいぶ違ったものになるのでしょう。
私は こういった建物が好きなのです。

by kurakichi (2008-10-21 02:24) 

パトラ

あまり良く理解出来ませんが、kurakichi さんが、指摘されれば、
そうなんですね~!  とても勉強になります^^!

by パトラ (2008-10-22 00:06) 

kurakichi

パトラ さん
コメントありがとうございます。

気分というか気持ちというか 自分なりの納得が欲しくて記事にしてみました。

by kurakichi (2008-10-22 00:19) 

ぽて

う〜ん、謎ですね。言われてみると図書館の動物がフシギすぎます~_~;
でもその謎がまた建築物の魅力でもあったりして・・・
by ぽて (2008-10-23 00:58) 

kurakichi

ぽて さん
コメントありがとうございます。

そうそう 色々考えるのが楽しいんですよ。 ハイ

by kurakichi (2008-10-23 01:22) 

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