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三吉橋  [建造物]

三吉橋の西詰め ちょうど中央区役所の斜向かいには
 
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この橋についての説明が書かれた銅板がはめ込まれた石があります。

その銅板の左側には
 
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この橋の歴史が書かれています。

築地川が直角に曲がる場所に楓川・築地連絡運河が開削され、その川が三叉になったところに昭和4年 震災の復興事業としてこの三吉橋が架けられました。
運河はその後 埋め立てられたり空掘りになって高速道路として使われるようになり 今は橋も陸橋として使われています。
中央区は平成4、5年の二年で 高欄に水辺に映える木立の姿を採り入れ、照明は架設当時の鈴蘭燈にし 古き風情を感じさせるデザインに修景された といったことが書かれています。

その水辺に映える木々をデザインした
 
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高欄の隙間から下を見ると
 
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車が走っていました。
車は京橋方面に向かっていますが ここは築地川と楓川を結ぶために新たに掘られた連絡運河の河床だったところです。 
三吉橋の下で直角に曲がっていた築地川も今は
 
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首都高から入船橋に出るランプになっています。

この橋は三叉の運河の上に架けられているので
 
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少し変わった形なのです。

そして銅板の右側には
 
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三島由紀夫氏の短編「橋づくし」の一部と、その小説に出てくる七つの橋が描かれています。

橋づくしは 
四十過ぎの小弓と二十歳を少し越えたかな子の二人の芸者、かな子の幼馴染で料亭の箱入り娘の満佐子、それに満佐子の家の女中のみなの四人が陰暦八月十五日の月の夜に それぞれの願掛けのために七つの橋を祈りながら渡るお話です。
願掛けには 知り人にあってはいけない、人と口をきいてはいけないというルールがあり まずかな子が腹痛で脱落し、次に小弓が昔の知り合いの老妓に出会って落伍し、最後の橋の備前橋の袂で手を合わせて祈る満佐子を投身自殺者と間違えた警官に腕をつかまれ 思わず「そんなに腕を握っちゃ痛い」と叫んで満佐子も脱落してしまいます。
最後まで無言で七つの橋を渡りきったのは不器量でボーっとした女中のみなだけだった。
という軽い内容のお話で 
この銅板にはその四人が三吉橋に到着する

 程なく四人の渡るべき最初の橋、三吉橋がゆくてに高まって見えた。それは三叉の川筋に架せられた珍しい三叉の橋で、向う岸の角には中央区役所の陰気なビルがうずくまり、、、、

部分が書かれています。

そしてこの小説は
 
中でも『橋づくし』は、もっとも技巧的に上達し、何ともなく面白おかしい客観性を、冷淡で高雅な客観性を、とり入れ得たものだと思っている。

と三島由紀夫氏本人が書いているほどの自信作なのです。

また上の銅板には小説の一部の

橋の欄干は低くその三叉の中央の三角形を形づくる三つの角に、おのおの古雅な鈴蘭燈が立っている。鈴蘭燈のひとつひとつが、四つの燈火を吊るしているに、その凡てが灯っているわけではない。月に照らされて灯っていない灯の丸い磨硝子の覆いが、まっ白に見える。そして灯のまわりには、あまたの羽虫が音もなく群がっている。

も書かれていいます。
四つの灯火が四人の女の置かれている状況、群がる羽虫にこの日の心情を暗に表現している点に氏の言う技巧が見て取れます。

さて実際に設置されている鈴蘭燈はこの小説に書かれている形に復元されていて
 
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このような形をしています。

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ぼんぼちぼちぼち

「橋づくし」まだ読んでないので今度 図書館で借りてみようと思いやす。
そうでやしたか、三島自らが気にいっていた作品でやしたか。
そういえば、もうじき 憂国忌でやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-17 19:04) 

kurakichi

ぼんぼちぼちぼち さん

11月25日でしたね。
もう41年も経ってしまいました。

by kurakichi (2011-11-17 22:22) 

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